ヘルニアにステロイド治療は必要?

病気

椎間板ヘルニアとは、椎間板(背骨と背骨の間のクッションである軟骨)が変性を起こして脊髄神経を圧迫する病気です。変性の仕方によりハンセンⅠ型(椎間板の中心部の脱髄を伴い、小型犬に多い)とハンセンⅡ型(脱髄を伴わず高齢の大型犬に多い)にわけられます。

椎間板ヘルニアの症状を説明する前に神経の伝達について説明します。
例えば、脳からの”足を動かせ”という信号は、脊髄を通り末梢神経に伝わり足が動きます。
逆に例えば、”石を踏んだ”という刺激は末梢神経から脊髄を通って脳に伝わり”痛い”と認識します。

脊髄神経が圧迫されるとこの信号がうまく伝わらなくなるために、圧迫部位より尾側(頭から遠い方)に異常が生じます。
好発部位は胸椎の後ろの方から腰椎の前の方くらいまでです。

●症状とグレード(胸腰部ヘルニア)

グレード1:痛みのみで運動失調はない
グレード2:後肢ふらつきながら歩行可能
グレード3:立位または歩行不能
グレード4:排尿排泄不能、表面知覚消失
グレード5:失禁、深部痛覚消失

圧迫部位で信号が遮断されるため、その部位以降は異常となりますが、それより頭側(頭に近い方)は、全く異常は示しません。また、基本的に左右両方に異常がでますが、多少の左右差はあるので、軽度の場合は片方だけ異常が見られることもあります。

●椎間板ヘルニアの治療法

軽度の神経異常(概ねグレード2)の場合は、まずは内科的治療を行うことが多いです。ケージ内での安静が最も重要で、合わせて非ステロイド系抗炎症薬や麻薬系鎮痛薬の投与で疼痛管理を行います。
5~7日以内に回復しない又は悪化が見られた場合は、外科的治療を検討します。
内科的治療で回復した場合でも厳重なケージ内安静は3、4週間は続ける必要があります。

実際には、症状の発現初期はステロイドが使用されることも多いです。ステロイドを使用するデメリットとして、消化管障害などの副作用がありますが短期投与なのであまり問題にならないことが多いです。あとは、あくまで治療開始時は症状から椎間板ヘルニアと仮診断されているだけ(脊髄神経の圧迫が疑われるが他の原因で圧迫されていることは、MRIなどによる診断が必須なのでいきなり椎間板ヘルニアと確定できることは限りなく少ない)なので、椎間板ヘルニアでなかった場合は、診断が難しくなる(例えば肉芽腫性髄膜脳炎や腫瘍)ことがあります。

ステロイド使用により長期的な予後がよりよくなるというデータはほとんどないが、実際には他の薬剤で良化がなかったものがステロイドで良化したということはあります。
グレード3以上の場合や内科的治療中に悪化した場合は、早急に強力なステロイドを投与した上で外科的治療をすることが推奨されています。

文献的には、ハンセンⅡ型の場合、ステロイドによる治療で短期的に神経症状が改善すると言われていますが根本的には外科的治療が推奨されます。しかし、病変が慢性化しているため完治は難しい場合が多く、維持するための処置となることが多いです。

●結論

重度の場合は、外科処置までにステロイドを使用することで回復する可能性が上がります。

それ以外の場合、ステロイド使用が必須とは言えませんが、ステロイドを使用することで良化することがあります。他の薬剤でも同等の効果が得られることもありますので、他の薬剤を使ってダメならステロイドというのもありですし、初めから可能性を上げるためにファーストチョイスがステロイドというのもありかと思われます。

麻酔のリスクやコスト的なことを考えると、試しにステロイドを一度使ってみてもいいかもしれません。

ステロイドを服用したことのある方(ヒトの病気の治療として)は、副作用の観点からステロイドの使用を極力控えたい方も多いかもしれませんが、ワンちゃんはヒトに比べ特に短期的なステロイドの使用の副作用は少ないと言われていますので、そのまで神経質になる必要はないかもしれません。

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