1.犬のしつけには英語が良い?
犬を飼っている人なら、犬のしつけには日本語よりも英語を使用する方が良いという意見を耳にしたことがある、
あるいは知識として知っている人も多いのではないでしょうか。
実際、盲導犬の訓練では、犬に指示する際は英語が用いられています。
これは、盲導犬の訓練技術はイギリスやアメリカから培ったものであるからということだけが理由ではなく、
英語を使うことによる大きな利点があるため、現在も正式に使われ続けているのです。
2.英語のコマンドと日本語のコマンド
犬への指示語はコマンド(声符)いい、犬を飼う人の中には、
英語のコマンドを使用する人と日本語のコマンドを使用する人がいます。
日常的に使用される基本的なコマンドは以下の通りです。
- おすわり(シット)
- お手(ハンド)
- 待て(ステイ)
- 伏せ(ダウン)
- 来いorおいで(カム)
これらは一般的な家庭でもよく使用されており、
しっかりとした訓練を受けていない犬にとっても身近なコマンドです。
3.英語のコマンドのメリットとデメリット
3-1.メリット
英語のコマンドを使用する上でのメリットは、犬が覚えやすく聞き取りやすい点にあります。
英単語は非常に短い発音で済むことが多く、且つ簡潔な構成です。
犬は言葉の意味を理解しているわけではなく、聞こえる音と飼い主の表情によって「これは主人が喜ぶ」「これは主人が怒る」などの判断をしているので、犬が聞き取りやすい音でコマンドを教えてあげると、しつけがよりスムーズにできます。
日本語でも短いコマンドはいくつかありますが、実はこれらは犬にとって少し聞き取りづらいものとなっています。
犬同士の言語には母音しか存在しないため、犬の耳には子音がほとんど聞こえていないとされています。
日本語であれば、「お手」と「待て」と「伏せ」は、犬の耳には「おえ」と「あえ」と「うえ」に聞こえているのです。
これらは犬からすれば非常に似た語感で混同しやすく、
待てと言ったはずなのに伏せをしてしまう犬がいるのもこのような理由であるからだと考えられます。
英語であれば、「ハンド」「ステイ」「ダウン」など様々な母音のパターンが存在し、犬も聞き取りやすいのです。
また、英語はコマンドに統一性をもたせることができます。犬を褒める場合であっても、日本語であれば「いいこ」や「えらいね」など様々なバリエーションが存在します。
しかし、前述したように犬は言葉の意味まで理解はできないので、
その時々で別の音を発してしまうと混乱してしまいます。
英語で褒める場合は「グッド」で統一できるので、犬も褒められていると理解しやすくなります。
さらに日本語でコマンドを覚えさせていると、日常会話の中の言葉でも犬が反応してしまうことがあります。
主人はそのつもりがなくても、犬は自分に向けて発せられた言葉であるのか、
そうでないのかがわからず混乱してしまうことになります。
このような問題を避けるためにも、
日常会話の言語と犬のしつけに使用する言語をはっきりと区別することは大変効果的です。
3-2.デメリット
英語のコマンドを使用する際にネックになるのは、主人が使い慣れていない言語であるという点です。
せっかく英語で覚えさせていても、
犬が何か悪さをした際に主人は「こら!」や「ダメ!」などの日本語を
とっさに発してしまうことがあるかもしれません。
そのうち、これは怒られている時の音だと覚えてしまい、
日常会話の中でその言葉が出るたびに反応してストレスになってしまうことも考えられます。
そのため、飼い主がとっさの場合にも英語で対応できるようにならなければいけない点が難しいところです。
また、他に家族がいる場合は全員が同じコマンドを使わなければいけません。
人によってコマンドがバラバラだと、犬はどれを聞けば良いかわからなくなってしまいます。
英語のコマンドを使用する場合は家族全員が英語での指示を覚えなくてはいけないのも難点です。
このように、英語のコマンドにはメリットが多い反面、不便な点もいくつか存在します。
まとめ
大切なのは、飼い主と犬がお互いにストレスなくコミュニケーションを取れることです。
現状、日本語でしつけをしている家庭が大多数を占めており、それでも犬との関係をしっかり築けている飼い主もたくさんいます。
しかし、犬をしつけ始めたがなんだか聞き取りづらそうにしているという時は、
英語のコマンドにチャレンジしてみるというのも1つの手かもしれません。